タイガーマスク

唐突だけど、実は俺はタイガーマスクが好きだ。
正確に言うとタイガーマスクというキャラクターが好きだ。

俺は中学の2年くらいのときに初めてプロレスを観てから高校くらいまではかなりのプロレスファンだった。当時の友人で知ってる人は知ってると思う。

一番最初は獣神サンダーライガーが好きで見始めた。その初めて観たプロレスの放送でライガーが出ていて、見事勝った。喜んでいると次週の予告で「タイガーマスク凱旋。対ライガー」と予告された。それまではプロレスなんてほんとに知らなかったけど、タイガーマスクというレスラーが世の中にいたことくらいは人並みに知っていた。それは3代目金本タイガーだったんだけど、当時の俺は「やばい、タイガーマスクって今でもいるんだ!?きっと強いんだろう。ライガーは負けてしまうんじゃ・・」と、心配したがその心配どおり、ライガーはタイガーに負けてしまう。

その後、3代目タイガーの試合も目にするようになるが、金本はあまり長い時間タイガーをやらずに素顔に戻ってしまう。そのころはすでにグレートムタファンになっていたのであまり注意してなかった。

でもムタや武藤が好きになるにつれ、自分の好きなレスラー像ができてきていた。ムーンサルトプレス、ローリングソバット、スープレックス。武藤のこの動きに自分は魅せられていたけど、その元祖がタイガーマスクだったということを知ったのはだいぶ後だった。

その後、何かのVTRで初代タイガーを見て、古き時代ながらもその唯一無二の動きとキャラクターに改めて魅せられることになる。タイガーマスクという世界にしかないもの、他の何かじゃ絶対表現できないもの、そういうものを感じた。おそらく武藤やムタにも同じような世界観を感じたんだと思う。

金本がマスクを脱いで以来しばらくタイガーマスクは登場しなかったし、俺もだんだんプロレスから離れてしまってたまに目にする程度だった。そのうちみちのくプロレスで初代タイガーマスク佐山に育てられたという四代目タイガーが登場する。
みちのくプロレスだったので動いてる姿はなかなか見られないけど、雑誌に掲載される静止画写真で見ても、たぶん相当キレのある動きをしているんじゃないかと思っていた。

いつしか、四代目タイガーは団体交流戦などで新日本プロレスにも登場するようになり目にする機会が増えた。そのころ、読んだインタビューかなんかで確か彼は新日本プロレスの入団を断られたか追い出されたかなんかの過去があって、新日本に上がるということは特別なことだというような内容があった。そうか、タイガーマスクなんていう華やかなキャラクターをしてるけど決して順調に来たプロレス人生ではなかったんだなとそのとき知った。

その後も特にプロレスを見る時間が増えるわけでもなく、減る一方だったけど、そんな中いつのまにかタイガーマスクは新日本でIWGPジュニアのチャンピオンになっていた。そして結婚もしていた。何年も前、雑誌で初めて写真を見たときの「こいつは一味違いそうだ」と思ったのが間違っていなかったようでなんだか嬉しかった。

そいつにしかないもの、そういうものを作り上げるという意味でタイガーマスクから学ぶことは多い。タイガースープレックスを使うレスラーはゴマンといるけど、タイガーマスクが使うタイガースープレックスだけは他とは意味が違う、そんなような。

唯一無二、オリジナルの醍醐味です。